世界は仮定の上に成り立ったことは一度だってない





※ オリキャラ登場注意報発令。
※ まず、こちらにて、名前変換登録をしてください。二倍美味しくなれるはず。

















――――目覚めろと、声が聞こえる。














「…ろ…起……ろ」





身が蕩けるようなまどろみ…誰も、俺の眠りを妨げるな…。
声を拒否するようにさらに自分の頭を抱え込み、再び心地より眠りの中に身を委ねようとした。





「…起き…んかっ!っっつ!!」
「痛ってぇえーー!!」


コツンなんて可愛らしいものじゃない。ガツンと頭に一発痛みを食らって俺は眼を醒ました。

「ちょ、イタイ!なにするンだよっ!」

俺の脳細胞がこれ以上死んだらどうするのだ。
俺の脳みそに慰謝料払えよ!ここは脳細胞いっこに百円とかせこいことは言わない。脳細胞の一個に一万円ぐらい払ってくれよ。
衝撃で痛みを訴える頭に手をやって、さすると、小さなぽっこりとしたたんこぶが出来ているのがわかった。うわーうわー…たんこぶとか、作るの久しぶりじゃねーか…。


「何するもなにも!お前が授業中にすやすや眠っているのが悪いんだろうがっ!先生の話を聞いていたのか!?」
「…はぁ?別に授業中に眠ってたっていちいち起こすようなセンセー…、…?」


いちいち起こすようなセンセーが大学にいるわけないだろうが!大学っつーところは自主性が第一だろうが。眠っていたら、後々試験やレポートで苦労するのは自分だし、ぺちゃくちゃとしゃべっていたり、携帯電話でメールしてたり、飲み物食ってたりするよりも、眠っているほうが周りの皆さんにも迷惑にならないからいいじゃないですか!

と、言おうとした口を噤む。

目の前には教科書を丸めて、めがねをかけた壮年の男。

えっと…どなた?


我に返って深呼吸をひとつ。ついで、周りをじっくりと見回す。
なんとなく、懐かしい風景。同じ制服をした男女が、バラバラに規則正しく机に並び、目の前にはチョークで書かれた黒板。窓の外は晴れ渡り、おそらく校庭だろう場所から聞こえてくる歓声。そして、俺の前に立っている男が持っているの本の表紙には…『数学T』。そう、教科書だ。
これらの当たり前のものを前に、指し示される場所はただひとつ。


「……学校?」
「おまえナァ…どこで寝てるつもりだったんだ?家か?」


いやいやいや、俺が通ってるのは学校は学校でも大学なのですよ?間違っても、生徒全員が同じ格好でいられて、無個性を求められるような学校ではないのだ。
そう、思うんだけど、小・中・高と「みんな一緒!言うこと聞いて、右へ習え!」みたいな感じで、全てにおいて均一的なもんを求められていたのがさ、大学に入って、急に「個性を大事に!自主性で動けよ!」みたいに自分を出せって言われても困っちまうようなー。
って…そんな俺の気持ちはどうでもいい。

「座れ、教科書広げて、今度また寝たらお前に課題だすからな?分かったか??」

たぶん、教師らしき人間が俺を促す。

「あいあい。すいませんしったー…」




なんとなく、分かった。
また、俺(山田)は誰かになったのだ。



ただ、問題がひとつ。







―――…ええっと?ごめん、っていうキャラ、どっかに出てきたことあったけ?





□■□






俺の名前は山田太郎(仮)。
まぁ、最近ちょっと自分のテンションが普通よりも高いんじゃないかと思い始めてきた。けど、テンションが高いのは基本的には胸中だけなので、普通に接している人々には俺の中身がこんなだとは気がついていないだろう。
口から出るのは、心の中で思っている三分の一ぐらいなのである。なのできっと、みんな俺がこんなことを考えているなんて知らないと思う。
結構心の中で勝手に突っ込んだり考えたりしているとさ、口に出す前に自己完結しちゃうのである。

さて、今回の俺は一体どこにいるのでしょうか。

無問題。
と、いいたい。が、実際問題、無理なのでここはあえて「問題ありだ…ニヤリ」と、どっかの某秘密組織のグラサン髭親父のように格好つけて言ってみるかな。言ってることは問題がありすぎだがな。まぁ、取り合えず、鼻の下に両手を組んで机に腕をつきチッサイ声で本当に実行に移してみる。

「問題ありだ…ニヤリ」

誰も見てない聞いてない。俺、空気…。
近頃流行のKY(空気読めない)なんてレベルじゃない。いいんだ、俺はKYを最初はKill you(お前を殺す)の略かと思ったようなそれこそKYな人間ですから〜。

教師が退室し、生徒たちが一斉に動き始めた。
何をするのかと見ていれば、皆がそれぞれに徒党を組んでお弁当箱やコンビにの袋を広げていた。ああ、そうか、黒板の上に掛かっている時計を診れば、お昼休みの時間のようだ。


「おお、飯か飯か!…」


ガサゴソと適当に机の中と鞄の中を漁ると、出てきたのは弁当箱とお茶のペットボトル。よしよし、食うかな。まだ顔を見ていないから分からないが、さきほど「古雅」と名指しで呼ばれたこの体が今現在は俺(山田)のものであることは間違いない。


あれだな、俺(山田)のものは俺(山田)のもの。俺()のものも俺(山田)のもの。


…素晴らしいではないか!天下のジャイアニズムに無理がなくなった!!このジャイアニズムが超局地的(俺にのみ)に該当している!!
ということは、コイツの財布の中身も俺のものだな。ポケットにはいってる新しいっぽい携帯電話も。さらには、さっき鞄漁ったときに見つけた音楽プレーヤーも俺のもんだな。


「いっただきまーす」


パカリと弁当箱を開けると、明らかに手抜きの冷凍食品が詰った弁当だった。ちょっとがっかりした。まぁ、背に腹は換えられぬ。食えるもんは食っとけ。腹に入れば皆同じ。両手を合わせて小さく礼。
もしゃもしゃと弁当をご飯→おかず→ごはん→おかずのエンドレスで口に放りこむ。そうしないと、絶対最後はおかずだけ、白飯だけと、どちらか一方がかならず残るから。

食べながら、教室をじっくりと見回す。あー…どこだろうなぁ、ここ?皆さんが着ていらっしゃる制服はとんと見覚えがない。
青か水色だか紺だか…青系の…セーラー服?衿が青っぽく、臙脂(えんじ)色のラインが入っている。そして、胸元には紐っぽく垂れたリボン。…リボン、ちょっとあんまり可愛くないなぁ…ああっ!あれか!ひっぱればすぐに解けそうなところに、このセーラー服をデザインした人間のほのかなエロ心がでているのか否か!というところだな。
男の方はいちもにもなくブレザーだ。

じっくりと観察して、ふと、目の目の端に黄色が映る。その色に惹かれるように視線を移して、


「ブホッゥッ…!!」
「ちょ、汚い!なに!」
「ゴフグフ…ゴホッ、す、すま…ゴホッ、ゴホッンっ!」
「あー…変なとこに入った?大丈夫、くん?」
「ゴフッ、あ、ありがと」


思いっきり吹いた。食べていた米粒を前の席に座っていた女子に飛ばしてしまった。ついでに米粒が器官にはいり、咳き込み苦しむ。席をくっつけて食べていた女子たちのうちの一人が、俺の背中をポンポンと叩いて心配してくれる。
咳き込むだけ咳き込んで、ペットボトルのお茶を飲んでようやっと落ち着く。


あー…吃驚した。
なにが吃驚したって、ご飯粒が器官に入りそうになったことだよ。(え、黄色の先に吃驚したんじゃないかって?違う違う)


「涼子ったら、やっさしいんだから!」
「ねー!なんでそんなに人にやさしくできるのかなぁ…」
「そんな、別に普通でしょ?」
「普通じゃないって!普通は出来ないって!」
「そうかなぁ…」


優しくしてくれた女子は友達と囲む輪の中に帰って行く。

…ああ、そうなのだな。
俺は生暖かい眼で、黄色のリボンをした女生徒と、その彼女の前に座ってだるそうに話を聴く(いや、あれはたぶん半分も話を聞いてないだろう。馬耳東風っヤツだな)男子生徒を見守った。

ゴクゴクと、残りのペットボトルを全部飲み干して席を立つ。飯も食い終わり、なんとなく尿意を催したのでトイレに行ってこよう。おおっと、ソノ前に、挨拶をしてこなければ。


「ねぇ」
「え?……なによ」


彼女は、しごく面倒くさそうに顔をしかめて俺の方を向いた。
うっわー…随分顔に気分が出るな。世の中、ポーカーフェイスを身につけなくちゃやっていけませんよ、俺みたいに。


「憂鬱?」
「は?」


思いっきり胡乱な顔をされた。
先ほどよりも眉間に皺がよっている…あんま眉間にしわ寄せないほうがいいぞ。将来的に皺に出やすいから。

「いやいやいや…うん、良かった」

何が良かったのか分からない。よかったね、と満面の笑顔で笑いかければ引かれた。
しかし、俺の気分は晴れ晴れして教室を前の扉から出ていって教室のプレートを確認して、笑いを含ませた声でガッツポーズをしながら一言零した。




「涼宮ハルヒはいつでも憂鬱ッ!」




県立北高校、一年五組。
―――…涼宮ハルヒを神とあがめるワンダーランドでございます!!





■□■





で、トイレに来た。
いやぁ、ここって特に身の危険を感じない世界だなぁ。はは、ハンターなんてとこはいつどこで殺人が起こるかわからないし、頻度が高すぎたし、何より俺自身がおかれた環境が暗殺者一家の次男坊なんてのだったために、通常よりも危険が 44,2倍ぐらいだった。(なんだこの微妙な数字)

しかし、ここは全然そういう心配がない!!
SOS団なるものに関わらなければ、特にヤバイことは何も無い。平和だ…そう、とてつもなく平和なのだ!
だから、俺はちょっと気持ちを大きくして一般人ながら、涼宮ハルヒという主人公(?…これの主人公はキョンのほうだったよな…でも、題名が『涼宮ハルヒの〜』なんだから、まずは涼宮ハルヒでいっか)にご挨拶までしてしまった。

トイレで所用を済ませ、手を洗う。その際に自分の姿を鏡で見る。


…ううーん。誰?
知らない顔だった。ていうか、たぶん、登場人物として名前がない人間なんじゃないだろうか。あれだ、表すなら少年A…いや、少年Jぐらいの脇役の、名も無い人間。


ハンカチを探すついでにポケットを探ると、生徒手帳が出てきた。…え、偉いなこいつ!俺なんて生徒手帳をポケットにいれて持ち歩いたことなんてねぇぞ!遅刻して、「はい、生徒手帳出して」なんて風紀委員がいうのは漫画の中だけだと思ってる…。
顔写写真つきの表面には、名前とクラスが記載されている。


名前は…。普通な名前だな。

…いやいやいやいやいや!俺の山田太郎(仮)には所詮敵わないがな!…ワハハ!勝った!(…自分で言っててちょっとむなしい)
いっそ、ジョン・スミスと名乗ってやろうか……欧米かよ!←古!(ジョン・スミスってのは、欧米の山田太郎的一般的な名前である)
自分()の顔を髭をそるときのように顎を持ち上げて左右斜めに持ち上げて、見え方を確認する。




―ー…この男、只者だな。(ようするに、何一つ飛びぬけたものがない人間だ。普通の人間、ようするに俺(山田)と一緒の一般人)



眼鏡を掛けているところがちょっと気に食わないが、まぁ、眼鏡かけると頭よさそうに見えるからいいかない。
眼鏡=真面目はという定義は最近では昔の話で、眼鏡=鬼畜・腹黒っていうのが定説になりつつあるな。…いやな定説だ。

クイッと、眼鏡のつるを押し上げて、教室に戻った。





■□■





「起立!礼!」

…な、懐かしい!!最後のHRを終わらせて、クラス委員長…すなわち、朝倉 涼子らしき生徒が号令をかける。
なんだこれなんだこれ!大学って授業終わったらみんばバラバラ適当に帰るから、こういう最後のビシッとした閉めがなんだか新鮮に感じる。
さて、帰るかなぁ〜と鞄を逆手に肩に担ぐ…いや、待て。ていうか、俺んちってどこよ?

?」

ど、どうしよう…ああ、そうか、職員室に行って自分ちの住所を教えてもらって…いや、自分ちの住所を高校生にもなって憶えてないってどんな子よ?と変な目餌見られそうだな。ここは、今から階段で足を踏み外して、ちょっと脳震盪を落として両親に連絡を取ってもらうとか…そういう路線でいったほうがいいのだろうか?


「おい!」
「…けど、ワザワザ怪我すンのも痛いし厭だなぁ…」
「おい…って!きいてんの??」
「あー…やっぱ職員室に行って…」
「おおーいい!!ーーー!!」


煩いなー。とか呼ばれてるやつ、とっとと返事してやれよ。ああ、どうやって家に帰ろうかなぁ…家に帰って、ごろごろしたいぜ。
はぁ…なんだって学校なんかで…ん?

ていうか、俺ってば、十歳以上の人間になるのって初めてじゃないか?今まではみんな幼いころに死んだ子ども(サラザールしかり、ミルキしかり…)だらけだったので、こんな思春期真っ只中の対外個性がはっきりしている奴になったことはない。

小さな頃だったら、俺という個性を普通にそのまま出して生活を送っても、なんら問題はなかった。けど、このっていう人間の性格が俺の性格と180度違ってたら、なんかいろいろ生活に支障が起きそうだ。
それに、の友好関係とかさっぱりだ。まず最初に、一人称は「俺」でいいのか?それとも「僕」?


「きーこーえーてーまーすーかー?」
「うぎょっ!」


耳にふうっと吐息を吹きかけられて鳥肌を立てて飛び上がった。擽ったい!そして、ビビッタ!ダブルコンポで悪寒が走った!

…振り向けば、男子生徒が呆れたようにこちらを向いている。彼も、なんていうか、普通にいる学生だ。
俺がお友達になるタイプの、間違っても体育会系のエースで活躍しているようなタイプでもない。かといって、文科系に入っているようにも見えず、俺と一緒に帰宅部な感じだ。(てか、帰宅「部」って言い方おかしいよな…部活じゃねーっつの)

帰宅部って、さっさと帰ってなにするの?とかつて友人に聞かれたとき、俺は「いろいろ」と答えたのだが、実際は四時半からやっているアニメの再放送を見た後、適当にチャンネルを回し、夕飯を食い、パソコンでネット小説などを読んだり漫画を読んだりしていれば時間があっという間に過ぎる。


「じゃあ、行こうか?」
「は?どこへ、てか…お前」
「いいから…付いてきて…ほら」


鞄を強引に奪われ、俺はついていくしか道がない。


「…なぁ!なんだよ。俺、帰りたいんだけど…あ!お前、うちんちに来たことあったけ?」
「いや、無いよ」
「っち…使えねぇ…」


ここでもし、「あるよ」と答えられたら、うちに来ることを誘って、それとなく家に帰ろうと思ってたのに…。
帰宅やら部活やらに向う生徒の溢れる廊下を縫い、なんだかんだと名の知らぬ男子生徒の後ろをついていく。普通は玄関のある一介に向って降りるのが正しい帰りの道なのに、なぜか階段を上へ上へと登っていく。


…屋上かよ。

屋上ってのは何故か良いイメージが湧かないのですが。
こう、不良のたまり場とか、自殺の名所だとか、ついでに屋上プールだとか、屋上菜園なんてのもあっちゃったりなんかするからな。

軋んだ音を立てて屋上の扉が開く。俺は、薄暗いところから急に明るいお天道様の下に出たために、立ち止まり、目を眇めた。
ほんの一瞬で目はなれる。
男子生徒が屋上のほぼ真ん中におり、俺の方に振り向いていた。


「ほらよ」
「あ、サンキュ」

ポンッと投げられた学生鞄を反射で受け取り、つい、お礼まで言ってしまった。お礼なんて言わなくてよかったのに…むしろ、無断拉致されていたのは俺の鞄のほうなのに…。







、と呼ばれ、ああ、それが俺の今の名前かと「なに?」と相手に目線をやる。こんな屋上までわざわざつれてきて…俺()と男子生徒の関係がどんなものだかさっぱり分からないが、何か話しがあることは確実だろう。
男子生徒が見つめてくる。……じっくりと上から下まで見られて、眉間に皺がよってくる。

ああ?なんやねん、はよ用件言えや。



…ま!まさか、屋上でアイの告白なんてことはあるまいな?在ったら速攻で逃げよう。ちょっと青ざめながら、いつでも逃げられるように体重の重心をずらしておく。
ややあって、男子生徒が口を開く。





「目覚めたんだろう?―――  "ノア" 」




………時が止まった。




うん、"ノア"ってなんやねん!!
脳髄反射で裏拳ツッコミが宙を切る。いやね、ノアっていうのはなんとなく分かるよ!ノアの箱舟とかだろ。


「…ワケが分からないって顔してるな?まぁ…いいけど…。ああ、言ってなかったよな、俺、一組の江野空也(エノクウヤ)。改めてよろしくー」


苦笑いを浮かべながら彼はいう。
え、今更自己紹介?俺()とお前は友達とかじゃなかったの?てか、以外に名前カッコイイな、オイ!う、羨ましくなんかないぞ!名前の最後に「ヤ」が付くのって粋な感じでカッコイイだ何て…お、思ってるよ!!


ってか、そんな身近な疑問よりも”ノア”ってのが何さ。



「うん。あのさー…なんていうのかんぁ…良くあるでしょ、”セカイ系”っていうジャンル」
「…あるな。世界系の代名詞といえば、エ●ァ、最終●器彼女とかだな、やっぱ」
「そうそう、それ系。なんでも系つければいいってもんじゃないけど。それのことだ。いやぁ、やっぱオタには話が通じやすくて助かるよ。こないだ目覚めた奴はそっちに詳しくなくてさぁ…微妙に話通じないし、納得させるのに二週間も掛かったし、しかも、なんかちょっとネジ飛んじゃって発狂しそうになっててマジやばかったんだよねー」
「…いや、そっちの事情はいいから、さっさと話進めてくれ」
「おお、すまなかった。で、セカイ系の出来事がこの学校らへんで起こってるわけです」
「あれか、【ボーイミーツガール=セカイの滅亡】な感じでいいんだな」
「そうです。あーほんと話早くて助かるわー!」



江野くん(だれが、空也だなんてカッコイイ名前で呼んでやるものか!)はニコニコと笑って機嫌がいい。よほど、全開の目覚めた奴とやらは、ジャ●プその他ライトノベルで育たなかった人間なのだろう。いくらなんでも話が通じやすいからって笑顔大放出しすぎだぞ、お前。
まぁ、俺も分かりやすいたとえで助かるのだがな。てか、セカイ系は大学の授業で初めて知ったんだけどな…意外なところで大学の授業が役にたったもんだ。



「ああ、俺も分かりやすいたとえで助かるわ。で、ノアってなに?それも、―――…涼宮ハルヒの所為?」




ほら、ここがさ、最近はやりのキョンが実は神だった!みたいなネタのセカイだったらヤバイでしょ。


「…うわ、凄いね…。よく分かったねー。流石、”最後に目覚めるもの”」



…!!
か、かっこいい!それ、俺のこと!?"最後に目覚めるもの"って、俺の称号!?
え、ここに俺のほかに他人はいないよな?思わず、きょろきょろと屋上を見回してしまう…おお、俺だ!俺に向って言ってるんだな!感動だ…!じぃいん…!



「俺らは"ノア一族"。セカイの滅亡を見届けるもの。そして、"最後に目覚めるもの"お前は…"ノア"の中で待ち望まれた"改変者になりえるもの"」



なんですとー!(よく分かっていないが、ここは驚かないと損な気がするので、目を見開いてみせる)
なんか俺凄いヒトみたいじゃん。




「うん、これもまぁ、王道で俺としては申し訳ないくらいなんだけど…いわゆる、あんたは自由に動ける"ノア"ってことさ…結果がどうなるか知らない。涼宮ハルヒが破壊神となるか、創造者となるか…どっちでも、いいんだよ。滅びたら滅びたで俺たちゃ生き残れるし。存続したとしても、このままの生活が続けられていくだけだし?俺たちは四年前――世界が、作り変えられた瞬間を感じた。何も替わらず、何かが変わった。あの瞬間――俺たちは、お前を待ってた。最後の"ノア"。俺たちの戴く……支配者」




いままでの軽い粘土カルちゃんの様子を一変させ、江野空也が俺の前で膝をつく。










「我ら、全ての力、の望みのままに」






□■□





……やあ!
ちょっと脳みそがテンパリ始めた山田太郎(仮)です!
なにやら、あの後、つとつとと凄いことを語れててしまい、しまいに、俺はアハハと取り合えず笑って屋上からダッシュで逃げました。いや、いっそ、屋上からあのまま飛び降りて、(俺)の生をとっとと終わらせてしまえばよかったのかもしれん。
そうすりゃ、自動的にもとの山田太郎(仮)の一般人生活にすぐさま戻れる!


いやぁ、俺、初めて誰かになって死にたくなったわ。逃げたい。
逃げちゃ駄目だとか言いたくない。逃げていいじゃんかよー…なんか、俺もやっぱり、普通の人だから、ちょっと凄い人間になれることに憧れがあるけどさぁ…。
なんか、全人類の未来とか肩に掛かったら逃げたくなるよねぇ?自殺したくならない?まぁ、俺の脳みそはたまに欝になって、全ての人生よ消えろ!世界よ滅びよ!とか思うけど…。

あ、たんま!やっぱあの漫画の続きが気になるから死にたくない!アニメの次回が気になるからやっぱ今のなしなし!
と、思いとどまれる。
おお、俺ってばなんてお手軽な人間だ。



明日の希望は、アニメと漫画の続きで出来ている。(これ、いい言葉じゃないか?どっかの標語にでもならないだろうか…無理か)



どこをどう通ったのか分からないが。
俺は自分の家へとたどり着いていた。テンパったのが良かったのかもしれない。
俺()の十五年身に付いた習性が上手いこと働いて、気が付いたら部屋の中で呆然としていたというしだいである。

なんか、すごくいい加減と言うか、ありえねーよ!な転回だが、ご都合主義でもこの際いい。
今までがご都合主義がちょっとなりを顰めていたのだ。ご都合主義…なんかもう、俺が世界の中心?と勘違いしたくなるような展開。
さて、江野とやらの話を簡単に説明をするとこうだ。

このセカイ…涼宮ハルヒが神であるという仮定の世界。
古泉一樹やおっぱいのデカイみくる?みるく?と、眼鏡の小柄なユキ。そして、語り部であるキョン。
…なんで俺は、古泉一樹しかフルネームで咄嗟に出てこないんだ…気分はorzだ。

彼ら…(キョンをのぞく)は、各自とある組織に属している。うん、知ってる。
超能力者の集団は【機関】、長門有希の【情報統合思念体】、朝比奈みくるの未来組織。



…の、一番上が俺ららしいよ。


なんつかね、こう、上の上の上の上の上の上?カオス的に上?(もうワケがわからん)らへんに位置するらしいよ。最後に一番上には江野空也いわく"本当の神様っぽいの"がいるらしいよ。でも、いるけどいないようなもんらしい。


確実に存在して、実働しているのは俺ら"ノアの七人"らしいよ。で、その七人の中でも、俺が一番権限があるらしいよ。
(七人って少ないなぁ…是非とも男女比を教えて欲しい。なんか、男四の女三とかだったら、俺が余る自身がある)


いやだなぁ…おれは今まで地道に人間関係を築いてきたつもりなのに…サラザールの時しかり、ミルキの時しかり…。
突然、俺の仲間(部下?)が六人も増えて、さらにはその下に無限大芋ずる式に配下がいるとか言われても困ってしまう。マイッチング★と、すでに意味すら通じない死語が飛び出すほどに参ってしまう。マイマイマイタケェエエー!(謎の雄たけび、幻覚症状自覚あり)





なんだそのご都合。
なんだその最強設定。なんだその………責任の重さはぁああああーーー!!(ここが一番重要。最強設定はいい!それは許す!俺が嬉しい!やっほう!けど、責任は断る!!)




俺の下にそんなにヒトやらなにやらがいるってのは、責任が重過ぎる。イヤダイヤダ…そんな…俺の肩には重過ぎる!
やべぇよ、胃痛になるよ。この歳で心労で白髪が生えてきそうだ。あれか?俺に血反吐を吐けって言うのか?

……世の社長さんってすげぇな…あれか、あれは、部下を人間と見ていないのか?だからこき使えるのか?あれだ、少々の人間を潰すぐらいは良心は痛まないが(殺しもそれなりにしてきたし?)、多すぎる人間を犠牲にするかもしれないって…。
うぐぐ…大を救うために小を殺すのは道理が通っているとは思うが、小を生かすために大を殺すってのは…なんだかなぁ…。

変なところで俺の常識が邪魔をする。
俺ってば、普通の一般人だからね!(やべぇ、この台詞段々通じなくなってきたかも!)


あー…ヤダヤダ!誰か、俺の変わりになって!
俺、涼宮ハルヒにくるんだったら、可もなく不可もなく、それなりにSOS団と関われるコンピュータ研究部略してコンピ研あたりの部長か、部員がよかった!平和だぞ〜あそこ!!文科系のくせに、ちょっとだけ無駄に体育会系のノリとかがあったりしてな!
きっと、実はヤツラは裏ネット界では知る人ぞ知る【ブラック・レインズ<黒い雨>】なんていう超電脳集団だったりなんかし………ないな。




うん。現実を見ようぜ、俺!





■□■





「おはよー」
「…おはよ」

…どうして、入学式アルバムというものは存在しないのだろうか。
卒業アルバムなんて、卒業したあとに同級生共の顔写真つきアルバムをもらっても、ソノ中の半分も知らないぞ。いっそ、入学式の段階で顔写真つきアルバムをくれ。そうすれば、クラスメイトおよび他のクラスの人間の顔と名前を覚えられるのに…。

適当な挨拶で自分の席につく。
はぁ〜…と深いため息を吐いて、椅子になつく。


「……なぁ、たにぐっちゃん?」

谷口なんとかという名前の登場キャラに話しかけてみる。無駄に谷ぐっちゃん呼びでフレンドリー。


「はいはい。なに」
「いやぁ、あのさぁ、あそこで話している二人って、ひとりは涼宮ハルヒ、で、もうひとりの方は…」
「キョンってばチャレンジャーだよなぁ…。涼宮に話かけるなんてさ」
「キョン、の本名なんだっけ?」
「なんだっけ?…いや、      だよ」
「ほう、      か…」


明らかになる、キョンなる男の実名。
あれ?見えない?…ああ、それはきっと朝比奈みくるのいうところの「禁則事項です♪」なとこだろう。見えたら困る。いろいろと。
まぁ…うん、キョンっていう珍妙なあだ名に頑張ればならないこともない。むしろならない方向の方が強い気がする。


「てか、キョン…って言うと、勢い余ってキョンシーって言いたくなるよな!」
「え…ナニソレ…」
「し、しらない?キョンシーってほら、なんか前に倣えみたいな格好でぴょンぴょン飛び跳ねる中国人みたいなヤツなんだけど…」


キョンシー知らねぇの!?え、これってマイナー?
キョンシーはなんか出来損ないの死人還りみたいなやつだよ!額にお札が張ってある!

…しらないのかね、今の若いモンは…。
年寄り臭い発言をしてしまうが、知らないんだろうな、たぶん。俺も詳しくは知らないし。単純にキョンっていうと、大声で呼びかけるときとか「キョンシー!」って言ったほうが言いやすくない?(別に言いやすくないって?さよですか…。)()


さて、朝倉涼子なる人間(ではないな。宇宙人…でもないな、人ではないのだから。すると、エイリアン…というとどうしても映画のエイリアンを思い浮かべる。妥当なところでやっぱり宇宙人もどきでいいかな)がいまだにクラスメイトとして馴染んでいる。
ということはだ、…ここは、いまだ小説一巻の時間軸ということが想像に難くない。

…そっかぁ…まだ一巻なんだぁ…。いや、今まで原作以前ばっかり行っていた俺としては、これは「もう原作!ついに!待っていたぞ!」となるのだが、…なぁ?今回は途中参加なので、どうにも感動が薄い。いきなりすぎて、頭がついていかない状況だ。

昨日なんて悩みすぎて十二時に寝た。(あ、ここは突っ込むことろですから。寝るの早いし!)





うん、なんか悩みが突っ切った。
ここ、俺(山田)の世界じゃないもん。どーなったってしったことかぁああああああーー!!


キーンコーンカーンコーン




「ホームルーム始めるぞー。みんな席につけー」


















…まぁ、しばらくは何もせず、まったりと人間観察でもするかな。
俺に被害が及ばない範囲で。



(世界は俺のために、傾いて回り続ける)




080307
※中途で終わる。
たぶん、そのうち加筆修正などします。全くキャラと絡んでないってどーいうことだ。それはいかんだろう!こういうありえない名前変換小説を一度でいいから書いてみたかったです。楽しいのか、いや、書いてる本人は楽しいからいいです。
五周年記念で、今日中(2008.3.7)に載せたかったので…無理矢理区切りました。すいませんすいません…(エコー)

なにはともあれ、忘れたころにおいでください。
ありがとうありがとう!