サヨナラこそが人生だ




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前回のあらすじ。



ゾル家の蔵の大掃除→玉手箱を開けた→小さくなった→布をまとった→次元超えた



「たすけてーほり●もーん!!」



あ、無理だわ。
むしろ今ので死んだ。死語すぎる。もう、時の人過ぎて誰も覚えてないかもしれない、メタボの危険性を訴えた人として。(違)





やあ!みんなの心の友の山田太郎(仮)くんだよ!
外見はミルキ・ゾルディックの美化120%でシクヨロ!細身でカッコいい若干ネコ目のミステリアスな男を想像してくれよ!
とはいいつつ、今現在の俺の外見年齢は二十代くらいなんだぜ。



びっくりなことに、すでにこの世界では十年ぐらいたってるんだぜ。
十年って言葉にするのは簡単だが、実際には十歳の子供が二十歳になってしまうという、時間の無情!
時間は君を裏切らない!誰の上にも平等なのである。



さて、前回までのあらすじのとおり、俺は次元を超えた。
あ、それを言ったら脳みそはいつでも三次元から二次元へ飛び出せますね。(人はそれを妄想と呼びますが、なにか?)
何がどうしてこんなことが起こったのか…いや、たぶん直前のことを考えれば、あのマントみたいな羽衣が原因なんだろうけれど。


今でも羽衣はちゃんと手元の所持しているが…こう、どこに繋がってるのか分からないのでうかつに使えない状態なのである。
何度か試しに羽衣でモノをくるんでみたら、あーら不思議!モノはさっぱりなくなっていた。



…なんたる四次元空間!恐ろしい!
どこに繋がっているのか分からないところが、さらに恐ろしい。もし、もしも、宇宙空間に投げ出されえてしまったら、どうしよう。爆発ですか?最近のガン●ムはよくわからんのです…。




「……まぁ、今、俺がいるのは日本であることには間違えない」




そう、俺は日本の昔に来てしまったようだ。

森を抜けだし、少しばかり開けた村にたどりついたとき「……日光江戸村…より酷い」というつぶやきは新しい。
何にたとえれば良かったんだろう。粗末な家々と、そこで彼らの服装やら、顔かたち。
田舎臭さ爆発のイモのような赤抜けない醤油顔は、間違えなく日本人だった。



……言葉は、思いっきりなまっていたので聞きとるのに苦労した。
お前ら、頼むから分かる言葉でしゃべってくれ!日本語でおkッ………って、間違いなく日本語ですね、わかりません。





未来に飛ばされるのならまだしも、時代後退…。
過ぎ去った過去は忘れる派なので、どうせなら宇宙世紀に行きたかった。


日本史とか、ブームが起こっているのは知っているが俺はまったく興味がなかった。というか、残念なことに、俺の高校の選択歴史は世界史だったんだなー。
ハハッ!英語を全くしゃべれないのに、グローバルな視点を培うために世界史を選んだ俺!



……横文字の名前とか、最高に覚えられなかったのは良い思い出です。
今でも覚えていたのはアウストラロピテクスが奇跡です。指折り数えて覚えたんだ、アウストラロピテクス。テストにも出たよ。
大事なので二回言ったが大学生には必要ない。社会人にも必要ない。

…なんでそんな重要じゃないこと覚えているんだろ。俺の脳容量の無駄じゃないかな…もっと大事なことを覚えておこうヨ…。





「ああ、それにしても空気がうまい」


なんだか戦国時代のようだ。
まぁそれは村の様子や来ているモノなどの文化水準から言って推測されたことだ。

さらに、どこかで誰かが戦っただの、同盟を結んだだの、北条がどうした、織田なんちゃらの名前を聞くし。
ガクトが出てたので話題になった上杉なんとかの名前も聞くし。朝倉、本願寺、佐竹などなどの名を聞く…まぁ、誰それ?というのが多いんだが。

毛利がなんとかとかいうのも聞いたなぁ。
あれって、昔にいた宇宙飛行士のご先祖様かな?他にもちょこちょこ知ってるような、知らないような名字を聞く。

日本というのはたくさんの大名がいて、覇権を争っているというのは常識である。
中学生の頃にやった。ホトトギスの文章とか…なんか、無駄に記憶に残ってる。



鳴かぬなら 殺してしまえ ほととぎす ――織田信長
鳴かぬなら 鳴かしてみせよう ほととぎす ――豊臣秀吉
鳴かぬなら 鳴くまで待とう ほととぎす ――徳川家康



どうなの、コレ。
もちろん、後の世に創られた句だというのも知っている。一番共感できるのはどれだろうか。



ちなみに俺が読むとしたら…



鳴かぬなら 食べてしまえよ ほととぎす ――山田太郎(仮)



まぁ、そんな感じです。
ただ殺すほど無駄なことはない、鳴かすほどの労力もしたくない、待ってるのなんて論外で時間の無駄。
殺したら、後片付けが面倒。鳴かすってなんで俺が鳥のご機嫌をとらなきゃいけないわけ?待ってるとか、養うのもただじゃないんだよ!



じゃあ食べちゃえ!食べれる物なら食べちまえ!俺(あるいは他者)の糧となってまうがよい!



もともと、ほととぎす自体どうでもいい。目のまで鳴かれたって嬉しくないし。
外を歩いていたらどこからともなく鳴き声が聞こえるのが一番いいんじゃないかと思うんだ。ラッキー!っていう感じで。



あ、話がそれてた。
俺はなんだか戦国時代?っぽい感じな日本にいてちらほらと…なんか聞いたことがあるようなないような大名の名前が聞こえてきたりするわけである。


いくら俺が山田ミルキ状態でも、多勢に無勢…でもないな、イケるな。
抹殺ファイヤーで、俺ツえええええーーー!状態になれないこともない。


俺一人で一騎当千ぐらいは文字のごとく出来る。なにこれ、男のあこがれじゃね?


でも、別にそんな戦みたいなことを起こすつもりは毛頭ない。俺は華麗な暗殺者なのだ。


戦国武将っていかついイメージしかないし。
あるいは、俺のイメージは漫画「ミスタージパング」ですが、何か?※古くてさらにマイナーでめんご!でも、持ってたんだよ!



そんなこの時代。
当たり前だが電子ツールなんてものは一切存在しない。となると、情報は自分の足で調べるか、その筋の人間、商人などから見聞きするしかない。
最初、俺は野を超え山越え川を越え、各地を放浪してみた。ちょぴり初心に戻った。


なんでだろう、森を歩いているとどうしてもかつてサラザールだったことを思い出す。自然は恐ろしいが、その自然に宿る全てのものが繋がっている感じが好きだ。

全てが繋がっていて、ひとつ。だけど別。




自分という存在がちっぽけに感じる。しかし、全てと繋がっているから……




「なーんちゃって(笑)、あ、お前、その草は食べられるぞ。摘め」




後ろにくっついて歩いていた子供に、野草を指し示し命令する。自分の背丈以上の籠を背負った子供は、嫌そうな表情を隠すことなく顔をしかめる。
他にも幾人かの子供が俺の後ろをついて歩き、黙々と草をむしっている。



「……なんで俺が」
「なんでもこーでも、そうでもない!苦いけど、胃腸薬として使える草だから覚えておくといい」



ぶちぶちと文句をたれながら、子供は背負っていた籠に摘み取った草を放り込む。

この子ダレの子、誰かの子♪間違っても俺の子供でない。
いわゆる養い子である。元をたどれば戦災孤児。


内戦さながらに、あちらこちらで大小さまざまな小競り合いが起きている。きっと、今日もどこかで。まぁ、その際に兵士が小さな村々を通りがかりに容赦なく強奪する。




男は殺され、女は犯され、子供はなぶられ、財は奪われ、村は焼かれる。


そこには命からがら逃げおおせた子供たちが、運が良いとひとりふたり存在する。
そういうヤツらを拾ったのです。


山田太郎(仮)の時は世の中の理を理解し、人の命って大切ですよね!とか周りに合わせて生きている。

本気で思っている人はいいかもしれないが、裏の俺は正直募金を呼び掛けて道端にいる人って…彼らがたくさんお金出せばいいんじゃない?と人でなしなことを考えることが多々ある。
おま、その呼びかけている時間にバイトして、バイトのお金を全額募金に回せよ!とかね。

ごめんなさい。しょうがないよ、山田太郎(仮)はひとでなしだもの…。





まぁ、子供を集めたのは簡単なこと。
畑を耕すのを自分でやるのがめんどいから。
恩を売って、俺に対して鶴の恩返し、はたまたは百倍返しとかで還元してくれないかなぁと思ってみたり。



け、けして知り合い誰もいないからさみしいとか思ったわけじゃなんだからね!勘違いしないでよね!!と、誤魔化してみたいものだが…本心から、誰も見知ったものがいなかったので仲間集めました。


もとから縁者のいない奴らを集めたほうがいろいろと楽。
すでに形成されている団体の中に飛び込むには、この世界はリスクが高すぎる。だったら、小さい子供を集めて洗のう…ゲフンゲフン、ええっと、共同体を作ったほうが楽じゃね?



俺は、性善説を信じていない。
性悪説を信じている。人間生まれながらは善か、あるいは悪かという考え方。たぶん、学校で習わなかったけ?

人間、どこまでも善を尽くすことは出来ない。

ましてや、山をさまよっていたときにすでに分かった。
山間にはあちらこちらに死体が転がっていた。焼け野原の戦跡にも、野ざらしになった人の遺体。そこから金目の物を漁る野党。鼻が曲がるような腐乱した肉、その肉をつつく獣や鳥。

孤児や、売られていく子供。

栄えた町でも、新参者は嫌われる。
村にしたって、どこのものか分からぬ得体のものを歓迎するわけがない。



戦乱の世、他人に対して無条件の信頼を寄せることなどない。




オケ!よくわかる。
愛だとか恋だとか、世の中そんな綺麗事で出来上がってるわけじゃねぇんだよ。特に漫画?の世界は危険がいっぱい!死がいっぱい!一般人はすぐに死ぬんだ!
ファンタジーもハーレムも、そんなものはないのだ!!




ちがうよ、けして旅の途中で道端の茶屋の女の子に振られたから言ってるんじゃないんだからな!











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だから、と、前置きして、俺は最初に言っておく。死にたがり屋の、子供たちに。



「だから、お前らには最初に選ばせてやる」
「俺は、俺の手足となる人材がほしい。情報を。この世の中の情報を(俺の安全な人生のために)」
「その代わり、俺はお前たちに生き残る術を与えよう」
「いい人に拾われた?はんっ!馬鹿なことを考えるなよ。この世の中に無償などない。タダより高いものはない!しっかり覚えておけ。百倍返しを忘れるな」
「都合のいいいように考えるな。全て疑え。裏の裏をよめ…」






ただで子供を養うはずもなく、ギブあんどテイク。
持ちつ持たれつ、寄りかかる。


人って感じは、そういうものですヨ。




お願い、俺を助けて子供たち!俺の老後を養って!













(ただで死ぬぐらいなら、俺の役に立ってから死んで?)







※ 人でなし思考ですまん…。